「ケアレスミス」とは何か
今回のお題は「ケアレスミス」。コイツをなんとかして滅ぼしたいという相談を、私は長きにわたって友人や後輩たちから受けてきました。そのため、ここでそのための手法を伝授しようと思います。
「ついうっかり計算ミスをしてしまった」
「いつもは間違えない英単語のスペルをなぜか書き間違ってしまった」
皆さんはこんな経験をしたことがありませんか?
私はもはや数えきれないほどあります。小学校のカラーテスト(単元ごとに出されるあのカラー印刷のテスト、最近はこう呼ぶそうですね)みたいに満点が比較的簡単に取れる場面ですら、「うっかりミス」で何点かを失ってしまった。誰しもこんな経験をお持ちだと思います。
無論、これは学習の場面に留まりません。仕事や日常生活においてもついうっかり…なんてことは少なくありません。
こうした「不注意によって起きてしまううっかりミス」のことを「ケアレスミス」といいます。
💡豆知識
英語では”careless miss”と書きます。”careless”は”care(注意)”という名詞に”less(足りない)”という接尾辞がくっついてできた形容詞なので、その意味は文字通り「不注意な失敗」ですね。ちなみに、「不注意」という名詞にしたいときはさらに余計なものがくっついて”carelessness”となります。
さて、ではこのケアレスミス、どうすれば撲滅できるんでしょうか。誰しも悩んだことがあるはずです。
これに対する私の回答は、「『ケアレスミス』というものの存在自体をまず否定しなさい」です。
………いきなりこんなことを言われても「何を言っているんだコイツは?」と思った方が大半でしょう。「ケアレスミス」をなくしたいと言っているのに、「そんなものは存在しない」とは何事だ!?と思われても当然です。
ですが、これは非常に重要なポイントです。そもそも「ケアレスミス」なんてものに悩むこと自体が誤解なのです。
「ケアレスミス」は存在しない!?
さて、これは一体どういうことでしょうか。
答えは意外と簡単です。明確な原因がある失敗を一括りにして「ケアレスミス」と呼んでしまっているからです。言い換えれば、あらゆるミスには必ずそれが引き起こされる原因が存在しているのに、「ケアレスミス」という言葉で語ってしまうことで個々のミスの原因が見落とされてしまっているとも言えます。
ここで一つの例として、私の実体験をご紹介しましょう。私は小学生時代、割と算数の得意な子どもでした。そろばんを習っていたわけでもないのに暗算が得意。九九は教わってすぐにマスターしてしまう。これは当時の私にとっては自慢でした。それなのに、いざ学校のテストや計算ドリルを解いていると、あちらこちらで計算ミスを頻発してしまう。本来であれば間違うはずもない簡単な計算問題で、なぜか間違えてしまうのです。これこそまさに「ケアレスミス」というやつです。
しかし、これにははっきりとした原因がありました。ある日、何気ない日常のメモ書きを頼まれて書いたものを母に渡した時の一言がきっかけでそれに気づくことになりました。
「この字、0か6かどっち?」
そう、端的に言えば、当時の私は字が汚かったのです。計算は早いけれども、それを素早く書いていくことばかりに気を取られて雑に書いてしまう癖があり、そのせいで自分が書いた0を6と見間違えたり、1と7を見間違えたりしていたことが判明しました。自分で書いた字を自分で読み間違えて計算しているのですから、いくら暗算が得意でも答えが合うはずありません。その後、私は徹底して数字を丁寧に書くことを心掛けました。それだけで、計算ミスはほとんどと言っていいほどなくなりました。
さて、私の体験談はこのくらいにしましょう。もうお分かりかと思います。私の「計算間違い」というケアレスミスには「自分で読み間違うほど字が汚い」という明確な原因がありました。この点だけを改善したことで、あっという間に問題は解決したのです。
つまり、些細な失敗をしてしまったことをケアレスミスと大きなくくりで捉えるのではなく、そのひとつひとつのミスについてきちんとその原因を考え、その対処を検討・実践する。これが地道ですが唯一にして最善の解決策なのです。
まとめ
ここまで、「ケアレスミス」はいかにして解決するかというテーマで語ってきました。
その唯一にして最善の解決策は、「ケアレスミス」なんて言葉で括って悩まないことです。ひとつずつのミスをちゃんと課題と捉えて、そのミスが引き起こされる原因、ミスにつながりうる自身の行動の分析をきちんとしましょう。その先に、自身のミスに合った解決策が見つかるはずです。
細やかな自己分析の先に、ミスを脱却した未来が待つことを応援しています!